高気密高断熱なのに、冷房が効かない

「せっかく高気密・高断熱の家を建てたのに、夏が暑くてたまらない」
「エアコンを20度設定にしても、風が当たると寒いのにムシムシしてぜんぜん涼しく感じない」

最近の高気密高断熱住宅を建てた方々から、このような悲鳴が上がっています。

魔法瓶のような家なら夏は涼しいはずだったのに、
一体なぜ、冷房が効かないのでしょうか?

実は、流行りに乗って「ただ断熱材を厚くしただけ」の家は、
知識のない建築士が設計すると、「夏のオーバーヒート」を引き起こします。

今回は、住宅業界が知らない
「高気密高断熱住宅が夏に失敗する、30年前から変わらぬ理由」を、
6つのポイントに絞って解説します。
あなたの家づくりが「見せかけのスペック」に騙されないための、真実の授業です。

目次

1. 窓(サッシ)のスペックをケチった代償

高気密高断熱住宅は決まった規格があるわけではないので、
ある意味、言ったもん勝ちの世界です。
どんなに性能が低くても、「うちは高気密高断熱住宅だ」と言えば、
それを照らし合わせて否定する規格がない
のです。

そこで多分一番多いのが、
「サッシをケチった結果、冬も寒いし、夏はやばい」という失敗です。

断熱すれば暖かく涼しくなると勘違いしている方が、
同じように勘違いしている住宅メーカーと打ち合わせをして、
昨今の建築価格の値上がりで予算が厳しくなった時に、
良くやりがちなのが「サッシのグレードを落として価格を合わせる」ことです。

どんなに高性能な断熱材をつかっても、夏場の熱侵入の約70%は「窓」からです。
しかも本当に高断熱だったら、一旦入った熱は自然に外へ逃げません。

高気密高断熱住宅になればなるほど、アルミ樹脂複合サッシや、
遮熱性能の低いガラスを選んだりするのは致命的です。

本当に業者選びで、家づくりの80%が決まります。

2. 「寄棟(よせむね)屋根」じゃない?

大手ハウスメーカーで、デザインの好みで選ばれがちな「寄棟屋根」。
4方向に傾斜がある落ち着いた外観ですが、
実は「夏の涼しさ」という点では非常に残念な屋根形状です。

寄棟屋根は、切妻(きりづま)屋根などに比べて
小屋裏(天井裏)の容積が小さくなりやすく、空気の逃げ場がありません。
太陽に一番近い屋根直下の空間に、
逃げ場を失った数百度の熱気が溜まり続けるのです。
この熱が天井を突き抜け、じわじわと室内に降り注ぎます。

ちょっと考えれば、素人でもわかることです。
「高性能」を謳うなら、屋根の形状はとても重要な要素。
「小屋裏の換気や排熱」を謳う人もいますが、
たぶん断熱がうまくいった経験がない方と思われますので、頼まないほうがいいです。

デザイン優先で夏の熱気を無視した寄棟屋根の家は、
夏の間ずっと、頭上に巨大な湯たんぽを抱えて暮らすようなものなのです。

3. 「全館空調」という複雑な設備の過信

近年、高性能化に伴って聞かれるようになった、
「全館空調だからどこでも涼しいですよ」という営業トークには注意が必要です。
全館空調の多くは、複雑なダクト(管)を通して各部屋に空気を送ります。

しかし、この程度の大きさのダクトで、どうして冷気が送れると思うのか不思議です。
大きなエアコン1台を家のどこか(小屋裏など)に設置して、
各部屋にダクトで送るタイプの全館空調は、そもそも無理があります。
30年以上前に流行って、輸入住宅系の方の多くがトライして、すべて失敗したやり方です。

それを知らない人が、『もしかして僕、思いついちゃったかも?』と勘違いして、
やっていると思われるケースをよく見ますが、
数年経ってくると、『夏冷えないじゃないか』というクレームが相当多いのでしょうね。

全館空調が効かない時のクレームを避けるために、
新築時に各部屋へエアコンが後付けできるよう、
スリーブを入れておくように言っている人もいます。

30年前と同じ現象で、夏のクレームが多発して対応できないので諦めるんですが、
最近の方も、多分、なぜ効かないのかさえわかっていないのでしょうね。

そんな、効きもしない200万円以上かかる全館空調より、
6畳用エアコンで家じゅう涼しくなる仕組みのほうがいいと考えるのは、
少数派なんでしょうかね。

4. 「ベランダ」という名の巨大な蓄熱器

「布団を干したいから」「なんとなく必要だから」と、
当たり前のように設置されるベランダ。
しかし、高性能住宅において、ベランダは「凶悪な熱の侵入経路」でしかありません。

どうして夏を涼しく過ごしたくて高気密高断熱住宅にしたのに、
ベランダをつけるんでしょうね?

ベランダのFRP床は、強烈な直射日光を受けて驚くほどの高温になります。
その蓄熱した熱は、太陽が落ちてからも
ベランダのサッシから2階の部屋に侵入し、温め続けます。

そろそろ寝ようかと、2階の寝室に来たら、部屋じゅうが蓄熱しているので、
エアコンを全開で掛けたところで、2、3時間で取り切れるほど簡単ではないのです。
それなのに、冷房をタイマーにかけて寝たりするので、
切れた途端に暑くて目が覚めて、寝不足になったりします。
図星の人がいるんじゃないでしょうか?

もしそのベランダの下に部屋があったら、大変です。
ベランダの床を伝って構造内部から1階の部屋の天井へと熱が伝わり、
その部屋だけ「なぜか冷房が効かない」と大騒ぎになるでしょう。

ベランダって百害あって一利なしです。
なので、百年の家®︎では、基本的にベランダを作りません。
これまでベランダが必要だと言ってきた人がやりたいことは、
ほとんどすべてベランダじゃない場所でできるからです。
ベランダなしは、極めて合理的でクレバーな選択です。

5. 「防湿」を怠った「洞窟の不快感」

「室温は25度なのに、なんだか肌がベタベタして暑い」
この原因は、間違いなく「湿度」です。

多くの大手ハウスメーカーの高気密高断熱住宅が、
断熱(熱を遮る)ことには熱心でも、
防湿(湿気を入れない・逃がす)をしていません。

日本の夏は、温度よりも「水蒸気」との戦いです。
屋根や床下や壁から水蒸気が侵入するのに、それを防がずに、
室内の湿気を適切にコントロールできない家は、
冷房して除湿しているはずなのに相対湿度が下がらず、
不快な「洞窟のような空気」になります。

百年の家®︎が、防湿性能に徹底的にこだわる理由がここにあります。
湿気をコントロールできて初めて、
エアコンが効く「さらさらで涼しい」と感じる、質の高い夏が手に入るのです。

6. 「冷房をつけっぱなしにしていない」という致命的なミス

高気密高断熱住宅の最大の弱点、それは
「一度熱を持ってしまうと、なかなか冷めない」ことです。
冷房代がもったいないからと、外出時にエアコンを消し、帰宅してから強風で冷やす。
これは高気密高断熱住宅において、最も非効率で不快な使い方です。

エアコンを消している間に、高性能な断熱材で守られた
家の中の「壁」や「床」自体が熱を蓄えてしまいます(蓄熱)。
帰宅して空気だけを冷やしても、
壁から放たれる輻射熱(放射熱)のせいで、体感温度は下がりません。

高性能住宅こそ、「冷房は24時間つけっぱなし」が鉄則です。
常に一定の温度で壁や床を冷やし続けることで、
エアコンは最小限の電力で「維持」するだけの運転になります。
冷房を消さない勇気が、結果として光熱費を抑え、本当の涼しさを生む。
この「魔法瓶の家の正しい使い方」を伝えていない住宅会社が多すぎます。

【結論】見せかけのスペックに騙されないために

高気密高断熱住宅は、
数値上の「Ua値」や「断熱等級」が高ければ夏涼しい、というのは幻想です。

・サッシを妥協せず、日射を遮る
・屋根の排熱を考え、余計なベランダを作らない
・湿気を防ぎ、エアコンを賢く24時間稼働させる

これら「当たり前のこと」を一つひとつ丁寧に積み重ねて初めて、
高気密高断熱住宅はその真価を発揮します。

『高気密高断熱住宅を建てたのに、冷房が効かない』
もしあなたがそんな不安を抱えているなら、あるいは今の住まいで悩んでいるなら、
残念ながらそれは大掛かりなリフォームか、建て替えでしか改善できません。
だからこそ、これから新築をされる方は、よく考えて見極めましょう。

エアコンの冷たい風を感じないのに、家中がさらさらと、ひんやり澄んでいる。
設備の力ではなく、家の本質的な性能が生み出すその涼しさは、
これまでのあなたの常識をきっと変えてくれるはずです。

設備に頼り切り、見せかけの数値を追うだけの家づくりは、もう終わりにしましょう。
百年の家®︎プロジェクトは、20年以上前から夏を、
そして一生を快適にする「真実の家づくり」を提案し続けます。

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