生涯一度きりの父の涙
生涯一度きりの父の涙
私が生まれたのは高度経済成長の真っただ中、
庶民の家庭にはテレビも無く少しづつ「三種の神器」(冷蔵庫・洗濯機・掃除機)を揃えていってた頃、
貧乏ではあるけれど国民がみんな希望にあふれていた時代です。
私の父は、岡山の山間地域で末っ子三男坊として生まれ、16歳で家を出て大工の見習いとして働いていました。
しかし当時は大工見習の給与は安く、高度経済の先頭にたつ大手企業は凄まじい勢いで成長していく中、
私の父も悩んだ末、知人の紹介である企業に転職することになりました。
それからというものマイホームを夢見て、夫婦共働きで一生懸命に働き、父が36歳の時に家族の家を建ててくれました。
それから40数年その家で楽しい生活をさせていただきました。
私も、自身の妻、子供たちとそんな楽しい生活をしたいと思い、50歳過ぎてではありますが、我が家を持つことができました。
ほぼ一生一度のことであるので棟上げの時は、ご近所様、私と家内の両親も参加してもらい盛大におこないました。
棟上げ式が始まる少し前、父が出来上がった棟のてっぺんを見ながら涙を流していました。
昔、大工を夢見た無口で真面目で厳格な父の涙が、いつまでも忘れることはできません。
家を建てるということは、大勢の人たちを幸せにするんだなと思いました。
そして私は、あの時流した父の "うれし涙" を
今度はお家づくりを提案する側として、皆様と一緒に体感したいと思っております。